商談金額と案件原価が同じデータレイヤーに乗っていない限り、ダッシュボードに粗利は現れない
はじめに:「Salesforceで売上は見えるのに粗利が見えない」
経営企画や情シスから、こうした相談を受けることがあります。「Salesforceでパイプラインも受注高も見えるのに、案件粗利だけが出せない」「経営会議で粗利率を聞かれたが、Excelで作った資料を出すしかない」「ダッシュボードを構築したが、結局案件採算は載せられなかった」——。
これはSalesforceの機能不足ではなく、データ設計の問題です。本記事では、Salesforce レポート・ダッシュボードで案件粗利が出ない構造的な理由と、その解決策を解説します。
この記事でわかること
- Salesforce標準で案件粗利が出せない3つの構造的理由
- 案件粗利を出すために必要な4つのデータ設計
- Salesforce上で粗利ダッシュボードを実現する3つのアプローチ
- 経営会議に持ち込める粗利レポートの設計フレーム
第1章:Salesforce標準で案件粗利が出せない3つの構造的理由
理由① 商談オブジェクトに「原価」が存在しない
Salesforce標準の商談オブジェクトには、Amount(受注金額)はありますが、Cost(原価)に該当する標準フィールドはありません。粗利=売上−原価で算出するため、原価データがそもそもオブジェクト上に存在しないと、ダッシュボードには出せません。
カスタムフィールドで「原価」を追加することは可能ですが、その値はどこかから入力されないといけません。次の理由②に続きます。
理由② 工数データが Salesforce の外側にある
案件の原価を構成する最大要素は人件費=工数×単価です。しかし多くの企業では、工数データは Excel か別の勤怠システムにあり、Salesforceには連携されていません。
結果として、商談に手入力された「想定原価」の数字しかなく、進行中の実績原価は分からない、という状態になります。
理由③ タスク粒度のデータがない
仮に案件全体の工数合計をSalesforceに入れたとしても、「タスクごとの粗利」は出せません。案件単位の粗利だけが見えても、どのタスク・どの工程で利益が削られているかが分からないため、改善アクションが打てません。
Salesforce標準のオブジェクト構造で案件粗利を出すには、最低でも「案件オブジェクト」「工数オブジェクト」「メンバー単価オブジェクト」「稼働種別マスタ」の4つを連動させる必要がある。これらのうち1つでも欠けると、ダッシュボードに粗利は現れない。
第2章:案件粗利を出すために必要な4つのデータ設計
データ① 案件オブジェクト(受注金額・期間・主担当を保持)
商談Closed Won後に生成される案件レコード。商談から受注金額を継承し、進行中の案件として独立したライフサイクルを持ちます。これが粗利計算の「分子(売上)」を構成します。
データ② タスクオブジェクト(WBS階層)
案件配下のタスクを階層的に管理するオブジェクト。「プロジェクト→マイルストン→タスク」の3階層で、各タスクに予算工数・実績工数を持たせます。これが「分母(工数の構成)」を構成します。
データ③ 工数オブジェクト(メンバー × 日 × タスク)
メンバーが日次で入力する工数レコード。15分単位の粒度・稼働種別・タスクとの紐づけを持ちます。これが「実績工数」を構成し、原価集計の基礎データになります。
データ④ メンバー単価マスタ(フルコスト単価)
メンバーごとのフルコスト単価(給与+社会保険料+賞与引当+間接費)を保持するマスタ。工数 × 単価 で人件費を算出します。概算単価ではなく、社員ごとの実態単価を持つことが正確な粗利計算の前提です。
第3章:Salesforce上で粗利ダッシュボードを実現する3つのアプローチ
アプローチA:標準+カスタムオブジェクトで自前構築
Salesforce標準の機能とカスタムオブジェクト・Apexトリガー・Flowでゼロから構築する方法。柔軟性は高いが、4つのオブジェクト設計・工数入力UI・タスク連動・レポート構築を自前で行う必要があり、工数と保守コストが膨大です。
アプローチB:AppExchangeのネイティブアプリを活用
プロジェクト管理に特化したネイティブアプリを導入する方法。4つのオブジェクトと工数入力UIがパッケージで提供され、Salesforce標準のレポート・ダッシュボードで案件粗利が即座に出せる状態になります。立ち上げ期間も短く、コストパフォーマンスが高い選択肢です。
アプローチC:BIツールで他SaaSと統合
Tableau/Looker/Power BIなどのBIツールで、Salesforceデータと別の工数管理SaaSのデータを統合してダッシュボードを作る方法。BIツールのライセンスコスト+データ同期の運用コストがかかり、Salesforce上で完結しないため、現場の閲覧性に制約があります。
第4章:経営会議に持ち込める粗利レポートの設計フレーム
レポート① 案件粗利ヒートマップ
進行中の全案件を粗利率で色分けした一覧。赤(粗利率10%以下)・黄(10〜20%)・緑(20%以上)で視覚化することで、介入が必要な案件が一目で分かります。経営会議では「赤の案件はその場で責任者を決める」運用に直結します。
レポート② 商談時想定 vs 実績粗利の乖離
受注時の想定粗利率と現在の実績粗利率を並べたレポート。乖離が3ポイント以上の案件には自動アラートが立つ仕組みにしておくと、悪化兆候を早期に捕まえられます。
レポート③ チャージ率(売上紐付け工数比率)
メンバー全体の総稼働時間のうち、売上に直接紐づく工数の割合。70%以上を健全水準として、組織別・ロール別に推移を見ます。経営の利益率改善は、ほぼこのチャージ率に集約されます。
レポート④ 仕様変更累計影響
仕様変更タスクがプロジェクト粗利を何ポイント削っているかの累計レポート。受注後の追加対応がボディブローのように利益を削るのを定量化します。
第5章:Task Relayで案件粗利ダッシュボードを実現する
Task Relayは、Salesforce上で動作するプロジェクト&工数管理SaaSです。本記事で挙げた4つのデータ(案件・タスク・工数・メンバー単価)を商談・取引先と同じデータモデルに乗せ、Salesforce標準のレポート・ダッシュボードで案件粗利が即座に出せる状態を作ります。
- 商談クローズから案件レコード生成まで自動化(受注金額継承)
- WBSタスク × 工数 × メンバー単価 = 原価が自動集計
- 受注金額 − 原価 = 粗利率がリアルタイム算出
- Salesforce標準のレポートビルダーで粗利ヒートマップが構築可能
- 経営ダッシュボードに案件粗利が標準で乗る
| 実現したい指標 | 必要なデータ | Task Relayでの実装 |
|---|---|---|
| 案件単位の粗利率 | 受注金額・原価 | 商談から継承+工数集計で自動算出 |
| 進行中の粗利推移 | 日次工数・単価 | 15分単位入力+フルコスト単価 |
| 想定vs実績の乖離 | 想定粗利・実績粗利 | 案件レコードに両方を保持 |
| チャージ率 | 稼働種別データ | 工数入力時の種別選択で自動分類 |
まとめ:粗利が見えれば、経営判断は速くなる
Salesforceで「売上は見えるのに粗利が見えない」のは、設計上の必然です。商談金額・原価・工数・タスクが同じデータレイヤーに乗っていないと、ダッシュボードに粗利は現れません。
解決策はシンプルで、4つのオブジェクトを連動させることです。AppExchangeネイティブアプリを活用すれば、自前構築よりも短期間・低コストで案件粗利ダッシュボードが立ち上がります。経営会議に「粗利ヒートマップ」を持ち込めるかどうかが、利益率改善の出発点です。
Salesforce ダッシュボードに、
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